相続税

相続税の障害者控除


前回の投稿から大分経ってしまいました。

今回は、友人の税理士から質問があったことについて、書いてみたいと思います。

 

相続税には障害者控除という税額控除の規定があります。

これは、原則として日本国内に居住する、被相続人の法定相続人が相続により財産を取得したとき、その方の障害の程度と年齢によって一定の金額を相続税額から差し引きことができるという規定です。

障害の程度の重さによって、障害の重い方は特別障害者、そうでない障害者の方は一般障害者として、85歳から相続が開始したときの年齢を控除して、特別障害者は20万円、一般障害者は10万円を乗じて計算することができます。

例えば、令和4年に65歳の一般障害者の方が相続により財産を取得したときは

(85歳-65歳)×10万円=200万円

を相続税から控除することができます。

そして、この障害者控除の額が障害者の相続税額を超えた場合、他の相続人の相続税額から控除をすることができるとなっています。

(参考)

障害者控除額は相続税法の改正によって1年あたりの金額等が次の表のとおり変わっています。相続開始の時の年齢をAとします。

相続開始年分 一般障害者 特別障害者
昭和47年 (70歳-A)×1万円 (70歳-A)×3万円
昭和48年~昭和49年 (70歳-A)×2万円 (70歳-A)×4万円
昭和50年~昭和62年 (70歳-A)×3万円 (70歳-A)×6万円
昭和63年~平成22年3月31日 (70歳-A)×6万円 (70歳-A)×12万円
平成22年4月1日~平成26年 (85歳-A)×6万円 (85歳-A)×12万円
平成27年~ (85歳-A)×10万円 (85歳-A)×20万円

 

 

この障害者控除の規定なのですが、障害者の方が2回以上相続した場合には、1回目の相続での障害者控除で控除しきれなかった金額を限度として計算することとされています。

そうすると、1回目の相続が平成26年で、2回目の相続が令和5年だったとすると、1年あたりの障害者控除の額が違ってくるので、調整計算が必要になってきます。

次に例を示します。

1回目の相続開始は平成26年3月であり、その際に一般障害者の甲さん(当時40歳)が100万円の障害者控除を受けているとします。

2回目の今回の相続が令和5年3月に開始し、一般障害者甲さんは49歳になっています。

今回の相続で控除することができる障害者控除額は次の①と②のいずれか金額が少ない方とされています。

① (85歳-49歳)×10万円=3,600,000円

② ①の金額+{(今回の相続開始の時)令和5年3月-(前回の相続開始の時)平成26年3月}×10万円-前回相続の障害者控除の額1,000,000円=3,500,000円

よって①>②のため、②の3,500,000円が障害者控除の額となります。

 

上で記載しました、障害者控除の額の改正によって1年あたりの控除額が異なる場合には、前の相続による控除不足額は、現在の規定によって計算をやり直すのですが、今まで当たったことがなく、今回調べて恥ずかしながら初めて知りました。

まだまだ勉強が足りないことを痛感いたしました。

 


   相続税 

最近の投稿
サイト内を検索