相続

貸家の敷地の評価と小規模宅地の特例


貸家の敷地のことを貸家建付地といいます。

貸家は家や部屋を貸しているわけですから、その家や部屋に住んでいる人がいます。

それらの住んでいる人の権利が、借地借家法という法律で保護されていて、家の持ち主はむやみに借りている人(借家人)のことを追い出すことができません。

そのため、人に貸している家の敷地は、普通に自分が使用しているのに比べて権利が制限されているため、土地の評価が減額になります。

貸家建付地の評価

相続税(贈与税)での、貸家建付地の評価は

自用地の価額ー(1ー借地権割合×借家権割合(30%、大阪の一部は40%)×賃貸割合)

となります。

※借地権割合は、国税庁の発表している路線価図に記載があります。

上の式の最後に「賃貸割合」とありますが、ここの算定方法には、なかなか難しい問題があります。

例えば、被相続人が同じ面積の部屋が4つあるアパートを所有していたとします。

亡くなった時にこのアパートの内3部屋は貸していたけど、1部屋は自分の子供が住んでいて貸していたものではない、というのであれば、賃貸割合は3部屋/4部屋=75%ということで問題ありません。

しかし、すべての部屋を不動産会社を通じて賃貸に出していたのだけれども、3部屋しか賃借人がいず、1部屋は募集をしていたのだけれども亡くなった時には人が住んでいなかった、とした場合、これも先ほどと同じく、賃貸割合は75%となるのでしょうか。

この場合、原則として、借家人がいない以上権利が制限されていないので賃貸割合は75%となりますが、不動産賃貸の募集はしていたのだけれどもなかなか人が入らず1か月程度空室になっていた場合には、賃貸に出していたものとして賃貸割合100%として、土地の評価を行うことができます(ただし、平成30年の改正で、新築物件の空室は募集に出していたとしてもダメ)。

小規模宅地の特例

相続税には、小規模宅地の特例というものがあり、貸家建付地であれば200㎡まで、土地評価額の50%を相続税の課税価格から減額することができます。

この小規模宅地の特例を使うとき、一時的な空室がある場合の取り扱いはどうなっているのでしょうか。

基本的には、借家人がいなければ小規模宅地の特例の対象になりませんが、貸家建付地の評価と比べると若干対象が広くなっています。

通達、情報によりますと、賃貸の募集などをしていて、貸付事業が継続していると認められるのであれば、小規模宅地の特例の対象としてもよいとなっています。

貸家建付地の評価との違いは、1か月程度の空室、といった要件がないことです。

とはいえ、「一時的な空室」と表現としては同じものを使っており、貸家建付地の評価の場合も必ずしも空室期間が1か月じゃないと認めない、といったものでもないので、現実的にはほぼ同じものと考えてもよいのかもしれません。


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